あおもり母乳の会

母乳育児を支援したいヒトや医療従事者の集まりです

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母乳なんでも相談

医療関係者各位

あおもり母乳の会では、ご要望があれば各病院に出向いて母乳の勉強会を開催しています。

よくあるご質問

母乳で子どもを育てる利点を教えてください。
母乳育児の利点に関しては、特に米国を中心とした膨大なデータからその優位性が様々な点において科学的に照明されています。赤ちゃんにとっては、例えば認知機能が良くなると言われています。つまり、頭が良くなると言うことですね。免疫面に関しては後述しますが、その他にも災害時に強いと言う利点もあります。人工栄養の場合、日本では清潔な水と環境が当たり前のように存在しますが、ひとたび災害に遭遇するとその安全はあっという間に失われてしまいます。東日本大震災のような大災害は稀だとしても、例えばマンションであれば停電しただけで断水することもありますので、そうした心配がないと言うのも母乳育児の隠れた利点と言えます。またお母さんにとっても子宮復古の促進や加齢後の骨粗鬆症・乳がん発生リスクの軽減などの利点も知られています。
母乳育児の感染予防効果について詳しく教えてください。
母乳育児では、お母さんが触れることの多い病原体、即ち赤ちゃんも接触する可能性の高い病原体に対して、それに特異的な抗体を母乳中に分泌すると言う仕組みによって、赤ちゃんを自然環境から守ってくれています。
少し詳しくご説明しますと、人間の身体では、鼻やのど言った上気道、それと腸管と言うのは最も病原体に曝されやすい臓器な訳ですが、そのため非常に免疫系が発達しています。お母さんが病原体に上気道や腸管を介して接した際、体内ではそこで得られた情報から、その病原体に特異的な抗体が産生されますが、その一部が母乳にも分泌され赤ちゃんにも与えられることになります。
つまり、母乳は周囲にいる病原体から児を守るためのオーダーメイドの免疫を与えることができ、未熟な免疫機能しかもっていない赤ちゃんにとっては病原体から守るための「魔法の薬」と言うことができます。
母乳育児をする上で重要なことは何ですか?
母乳育児の確立と維持に重要なのは、まず第一に、お母さんが絶えず赤ちゃんと一緒にいること、そして頻回に授乳すること、最後におっぱいを張らせないこと、です。これらは全てホルモンの働きで説明することができます。
母乳を分泌させるホルモンは妊娠中にその値が上がっていきますが、出産後には再び下降し始めます。ここで、赤ちゃんがおっぱいに吸い付くことによって一過性の上昇を繰り返しますが、これを頻回に繰り返すことで、ホルモンの値が下がるのを遅らせることができます。もし、十分な吸啜がないと、その値はあっという間に妊娠前の値まで下がってしまいます。こうしてこのホルモンの値が維持されている間に、おっぱいにも変化が始まります。母乳分泌ホルモンは出産後数ヶ月後には下がってしまうわけですが、その低い値でも十分な母乳分泌が得られるようにおっぱいが変わっていくのです。この段階になると、母乳分泌に最も重要なのは、おっぱいを最後まで飲みきることと、張らせないことになります。
これらをまとめますと、お母さんが絶えず赤ちゃんと一緒にいることと頻回授乳は母乳分泌ホルモン産生に最も重要で、また乳房内に残った母乳が母乳産生を抑制することから、母乳分泌の維持にはおっぱいを張らせないことがとても重要と言えます。
ここで、どんな時におっぱいが張ってしまうのかと言えば、授乳間隔が開いてしまったり、全部飲みきれない場合と言うことになりますが、その中で最も多い原因が人工乳の追加と言うことになります。
よく、母乳育児をしている時に、赤ちゃんが頻回に泣いてしまうので母乳がたりないのでは?と思われることがあるかと思います。これは母乳が足りないのではなく、母乳は非常に消化が良いんですね。なのですぐにおなかが減ってしまうんです。逆に人工乳は母乳より消火が遅いので、腹持ちが良い、つまり授乳間隔を開けることができてしまいます。ですので、母乳分泌維持と言う点から見ると、人工乳の追加は最も大きな悪影響を及ぼすものと言えます。